2時間で極楽気分が味わえる ビジネスマンのオアシス
フリーランスになって1年。休暇と称して、大阪に行った。行きの「のぞみ」は東京駅6:43発。カタカタカタカタ……よその人のキーを叩く音がこだまする。うっかりしていた。この時間の新幹線は、ほぼ通勤列車だった。約2時間半後、休暇気分もすっかり萎えたまま新大阪に着いた。
次の約束は11:30。この街で2時間何をしようか迷っていると、友人が「ひなたの湯」を紹介してくれた。地下800メートルから汲み上げた都市型天然温泉とある。地下鉄御堂筋線寄りのJR新大阪駅の出口から歩いて6分。目的の温泉は、大阪ガーデンパレスの斜め前にある白いマンションの9階にあった。
中は、シックな木目調のインテリア。受付近くのカフェコーナーとバルコニーには足湯がある。地元のおっちゃんは、足湯に浸かりながらモーニングを食べていた。
髪の毛1つ落ちていない清潔な脱衣所を抜けると、内風呂には大きな浴槽の「なごみの湯」、「冷やし風呂」、「サウナ」がある。「なごみの湯」の泉質はなめらかだ。
「ひなたの湯」のウリは、地中海のリゾート地を彷彿とさせる都会型露天風呂だ。白とコバルトブルーを基調とした外湯が4つある。大きな湯船の「満天の湯」、八角形の「ジェット湯」、陶器の湯壷で豪奢な気分が味わえる「天の湯壷」。そのほか、高濃度人口炭酸泉と、よもぎやパイナップルなどの変わり風呂が日替わりで楽しめる「炭酸泉(旧:四季の湯)」がある。
露天風呂から内風呂に入り、また外湯に戻ると、パイナップル風呂の湯船の色が濃くなっていた。お客のおばちゃんがスタッフさんに頼んで、入浴剤を足したのだ。「パイナップルの匂い、せえへんもんなあ?」とのこと。大阪のおばちゃんは強い。即座に入浴剤を足したスタッフさんもすごい。
おばちゃんは「土日は半日ここにいたわ」と言う。脱衣所にはたくさんのアメニティやマッサージ器具があり、カフェテリアの足湯、さらにくつろげるリビングがある。お風呂からリビングまでループしていれば、確かに半日いられるのだ。キレイなよその家にいる感覚なのかもしれない。
行きの「のぞみ」で消耗した私もすっかり充電できた。2時間あれば極楽。疲れたビジネスマンにもおすすめしたい。
ライター/横山由希路
|