欧米の重要アーティストを一貫して紹介。 六本木の路地にあるギャラリー
六本木通り沿いにある旧麻布警察署の脇を抜けると、表通りの喧騒と打って変わって閑静な住宅地の路地に出る。目の前に見えるのは、ピラミデ。名称の通り、中庭にルーブル美術館を模したガラスのピラミッドがある商業施設だ。ここは飲食店、クリニック、フィットネスクラブのほか、オオタファインアーツをはじめとした5つのギャラリーが軒を連ねる。いずれのギャラリーも現代美術に特化している。
今回紹介するのは、WAKO WORKS OF ART。ピラミデの3階に位置し、国内の作家、特にペインティングに力を入れるオオタファインアーツの隣にある。WAKO WORKS OF ARTは、日本ではあまり知られていない欧米の重要な作家を若手から巨匠まで幅広く紹介する。ドローイング、水彩、油彩、インスタレーションの作家も扱うが、画廊内では写真作品を見せる頻度が高い。
伺った日は、常設展だった。アメリカのジェームス・ウェリングによる作品が11点、ドイツの写真家ヴォルフガング・ティルマンスの作品が4点。さらに女性パフォーマー、ビデオ・アーティストとして知られる2018年京都賞(思想・芸術部門)受賞のジョーン・ジョナスが、パフォーマンス中にドローイングした作品も展示されていた。
ジェームス・ウェリングは、「写真とは何か」を一貫して問う作家だ。画廊には直線的なパイプラインが美しい工場のモノクロ写真があったかと思うと、濃紺とショッキングパープル&グリーンを合わせたグラフィックアートのような写真もある。フォトショップなどを駆使しているのだろうが、どこまでが写真でどこからが写真でないのか区別がつかない。彼の作品は主にニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ホイットニー美術館などに所蔵されている。貴重な作家の作品を、六本木の裏路地で静かに鑑賞できるのが嬉しい。
4月20日(土)からは常設展ではない企画展が予定されている。
ライター/横山由希路
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