MAIL MAGAZINE Vol.7 2019
練りに練られた体験型展示物に
大人も夢中になるミュージアム
東京・京橋の夏は暑い。アスファルトの照り返しで額にうっすら汗をかくと、ある建物で涼もうと試みた。すれ違いざまに入口から出てくるのは、地方から来た修学旅行の中学生たち。「見学、ありがとうございました！」。元気のよい挨拶に、寝ぼけていた頭もシャキッとする。
ここは「ポリスミュージアム」。2017年4月、従来の「警察博物館」から、子どもたちが警察官の仕事を疑似体験できる「キッザニア」のようなミュージアムに生まれ変わった。また体験だけでなく、児童を狙った犯罪から子どもたち自身がどのように身を守るかをタブレットのクイズ形式で考えさせたり、自宅の防犯をトレーディングカード形式で学んだりと、さり気なく犯罪心理まで考えさせられる。よく練られた展示に、子ども連れのファミリー層のみならず、フラッと寄った大人も大いに楽しめる。
個人的に全く歯が立たなかったのは、3階の「指名手配犯をさがせ」だ。手配犯の顔を雑踏の中から10秒で割り出す。チャレンジものは「初級」「中級」「上級」とあるが、「上級」を何度行ってみても、変装した手配犯を見分けることができない。警察官の執念を感じる体験だった。
また「容疑者の指紋をさがせ！」も面白い。携帯カバー、ティーカップなど、日用品の中から1つ選んで規定の場所に置くと、ディスプレイに3D画面となって映し出される。脇にある刷毛を使って指紋採取の疑似体験をするのだが、毎回信じられないような場所から自分の指紋が検出されることに驚く。ドラマ『相棒』で、六角精児さんが演じた米沢守のような気分で採取した。
建物は6階まであり、1～4階までがキッズが楽しめる作り。階が上がるごとに内容が難しくなり、5階は完全な大人フロア。明治から平成までの事件史が綴られ、「連合赤軍軽井沢事件出動」と書かれた隊員による国旗の寄せ書きなど生々しい展示も。隊員の名前と任務に赴く決意が一言ずつ書かれており、あさま山荘事件の現場に向かう際、死を覚悟していた隊員の様子が見てとれる。なお6階はイベントホール。夏休み期間中には子ども向けイベントが予定されているので、こちらもお楽しみに。1階の入口はパトカーが目印。車種はマツダ RX-8だ。
ライター／横山由希路
