MAIL MAGAZINE Vol.8 2019
オトナに勧めたい！
人気２大メニューを老舗甘味処がドッキング
JR有楽町駅前に位置する複合商業施設・ITOCiA。ここにはガラス張りのファサードから1歩踏み入れると、田舎の旧家にタイムスリップしたような店がある。「甘味おかめ」有楽町店がそれだ。エントランスは土蔵などによく使われるなまこ壁と大谷石であしらわれ、店内は200年以上も前に建てられた栃木県の旧家から移築した大梁と本漆喰の壁でしつらえた。都会の真ん中でホッとしたい中高年はもちろん「古いもの」と「新しいもの」の混在する様が目を引くのか、アジアからの外国人観光客もよく訪れる。
「おかめ」の看板メニューは「あんみつ」。この店のあんみつの特徴は、全体のバランスの良さだ。甘さ控えめのあんこと甘みのやや強めな黒蜜、歯ごたえのあるしっかりとした寒天が、口に入れたときに、実に良い塩梅なのだ。でも夏の有楽町・銀座は暑い。どうしてもかき氷を食べたい。だって「おかめ」の店頭には、氷の暖簾が吊るされているじゃないかと思う人もいるだろう。かき氷もあんみつも食べたい欲張りな人には、「氷柚子あんみつ」をオススメする。
シルエットがポプラの木を思わせるかき氷は、目に沿って縦目に削られている。はむっと口に含むと、氷がサーッと溶けていく。口に残るのは不思議な清涼感。氷の上に丁寧にまぶされた柚子シロップと、細かく刻んだ青じそのせいだ。氷の量がなくなってくると、下にはあんみつが待っている。単品のあんみつのようにパイナップル、あんず、みかん、求肥はないが、比較的固く煮た赤エンドウ豆に、甘く煮た小豆、そして寒天が入っている。ここで別添えの黒蜜をかける。柚子味の氷がすでにあんみつに溶けているせいか、甘みの強い黒蜜をかけても、甘ったるくはならない。冷たくて、少しスーッとして、ほんのり甘い。「このメニューを考えた人はエラいなあ」なんて思いながら、一気に完食した。
ごく普通のかき氷が好きな人もご安心を。「氷イチゴ」「氷メロン」はもちろんのこと、「氷あずき」「氷宇治」「氷イチゴミルク」などの定番メニューもある。でも「おかめ」は小豆の美味しい店。氷あずきの下に冷しるこが待ち構える「氷しるこ」などにトライすると、他店では味わえない体験ができそうだ。
ライター／横山由希路
