MAIL MAGAZINE Vol.10 2019
創業134年。
中央区の有形文化財に指定される食のセレクトショップ
東京オリンピック・パラリンピックによる都市再開発の重点地域とされる日本橋、八重洲、銀座。八重洲と銀座の中間に位置する京橋もまた、再開発が行われている。東京スクエアガーデン、京橋エドグランと新しい複合商業施設が立ち並ぶなか、外壁や室内の一部を1933年建造当時のままに保存し、再生を繰り返すのが明治屋京橋ビルだ。日本の近代建築史上重要なルネサンス様式の建物とされ、東京都中央区の有形文化財に指定されている。東京大空襲で損害を受けるも建物は無事残り、民間建造物としては現存する最古のものだ。
明治屋は「いつも いちばん いいものを」がモットーの高級老舗スーパー。セレブ御用達の印象も強いが、明治屋の魅力は何と言っても「バイヤーの目利きと豊富な品揃え」にある。15年ほど前、現地の石垣島でも入手困難だった辺銀食堂の「石垣島ラー油」をいち早く全国の店舗で扱ったのも明治屋だった。デパートの物産展に行かずとも、“現地でしか味わえない食品”を明治屋でゆっくりと選ぶことができる。
京橋ストアーはこぢんまりとした店舗だ。そのなかに珈琲120種類、蜂蜜90種類、オリーブオイル60種類、チーズ100種類以上、得意の米菓が150種類と、日本のあらゆる地域や世界各国から取り寄せた商品が整然と並んでいる。また1885年の創業当時から舶来品を扱い、134年経った現在も船舶に食材を卸していることから、外国料理の配慮がなされている。場所を取るベトナム料理のライスペーパーももちろん置いてあるし、最近人気の韓国料理であるチーズダッカルビ、サムゲタンも冷凍庫に鎮座する。
また明治屋は優秀なメーカーとコラボレーションをし、「明治屋ストアー推奨品」として売り出すことでも知られている。推奨品は実に200アイテム以上あるが、私が京橋の店舗に赴いた際も、入口付近で大プッシュされていたレトルトカレーなどは面白いだろう。ビーフ中辛の「京橋カリー」、ビーフ・ウスターソース仕立ての「横浜元町カリー」、ビーフ山椒入り中辛の「京都三條カリー」は主力商品。なお店舗の隣、京橋エドグラン地下には明治屋直営の老舗洋食屋兼ビアホール「京橋モルチェ」があり、そこで「明治屋の味」を味わうこともできる。
ライター／横山由希路
