MAIL MAGAZINE Vol.2 2020
厳選した全国18種類の味噌が楽しめる
昭和の古民家ダイニング
東京・神保町の大通りから1本路地に入ると、昭和の時代に建てられた古い一軒家が今も数多く残っている。レトロモダンな飲食店に生まれ変わった古民家の1つが「味噌鐵 カギロイ」。もともと酒屋だったこの一軒家は、全52席の味噌鉄板ダイニングだ。1階は炭火焼きと鉄板焼きのオープンキッチンに面したカウンター12席、2階は床の間のある座敷で24席、屋根裏部屋のような3階は16席ある。
席だけの予約も可能だが、訪れた日は飲み放題付きの「しののめ」コースをオーダーした。最初に出てきたのは「なめ味噌と有機野菜の盛合せ」。かぼちゃでありながら果物のようなサクサク感がある千葉産バターナッツなど7種の新鮮野菜を、この日は金山寺、ウニ、ニンニクの3種のなめ味噌に付けていただく。個人的には口に含んだときよりも、舌の上に乗せてからフワッと風味の広がるニンニク味噌が好みだった。
次は、青森産の生本マグロを特製の味噌溜り醤油でいただく「『生本マグロ』のお刺身」。中トロの脂を感じるのは、口に入れた一瞬だけ。あとはスッと溶けていく。さらに岩手産の「しいたけのたまり焼」「和牛しぐれ煮の出し巻たまご」と、甘味を感じさせる2品が続く。「和牛しぐれ煮の出し巻たまご」は絶品。しぐれ煮の甘味と九条ネギの辛味と荒くおろした大根のザクザク感のマッチングがたまらない。
コースは後半戦。千葉産・厚切芋豚の「バラ味噌漬け焼」と「ロース鉄板焼」へと続く。豚バラはさぞかし味噌がきいているのではと思いきや、ほのかに味噌の味わいを感じる程度。とても優しい風味だ。続いて「めかじきの西京焼」。信州味噌から白味噌へ。料理を引き立てる味噌の移り変わりがまた楽しい。
シメは「銀シャリとジャコ味噌」と「本日のお味噌汁」。おいしいごはんとお味噌汁だけで、何故心がきちんと整うのだろうと思わされる。最後のデザートは「桜味噌チョコソースのバニラアイス」。味噌はほんの隠し味程度に使われている。
コースメニューにはないが、個人的にオススメなのは「卵黄の味噌漬け」と「カギロイの味噌茶漬け」。単品でぜひ。また2・3階の座敷で飲んだ男性は要注意。帰り際、階段が急なので、踏み外さないように。
ライター／横山由希路
