リピーター必至。リラックス効果の高い 読書&アイデア創造スペース
その場所に踏み入れた瞬間、思った。「あ、ここ、また来るかも」。
カレッタ汐留にある「Think Lab汐留」は、無人の読書&アイデア創造スペースだ。専用アプリをダウンロードし、アカウント作成後、利用したい日時を予約する。今すぐ入室したい場合は現在時刻で予約し、アプリ上でダークグレーの入口を開錠する。
いざ入室すると、そこはひんやりとした空気の漂う暗闇で、マスク越しにも感じられるほど、柑橘系とペパーミントがブレンドされた心地よいアロマの匂いで満たされている。奥の扉が開くと、そこは暖色系の明かりが灯る受付。消毒、検温をした先には、ガラス扉を経て「DEEP THINKING(集中)エリア」がある。
ここまで読むと、「Think Lab汐留」が何かの構造に似ていると気づく人もいるだろう。そう、神社仏閣だ。暗灰色の入口は、精神を統一して鳥居をくぐるイメージ。参道をシンボライズした香りが漂う暗い通路を通ると、脳に自然とスイッチが入る。開けた場所が手水に当たる受付。そして拝礼に相当するのは読書やアイデア出しで、本殿に行く頃には集中力がみなぎるという訳だ。
「DEEP THINKINGエリア」には、21の「CONCENTRATION(集中)ブース」と10 の「IDEATION(アイデア創造)ブース」がある。「CONCENTRATIONブース」は漫画喫茶の個室のような造り。濃いグレーのデスク棚には鉢植えのサボテンが4つ置かれており、植物園にでも来たような気分だ。
「IDEATIONブース」は小上がりにある。高い位置からスペース全体が見られるようになっており、視界を閉ざす扉はない。まるで旅先の丘から街を眺めるような不思議な感覚なのだ。置かれる本も宮崎駿、黒澤明とブースごとに異なり、読み進めると、思わず脇の白い紙に本の名言をメモしてしまう。
私がまたここに来たいと思った訳は、室温、匂い、音がいい塩梅でリラックスでき、かつ自然と本の内容が頭に入ったからだ。足元からは絶えず水の流れる音が聞こえ、頭上からは南国の鳥の鳴き声がする。室温は少し涼しいと感じるくらい。そして新幹線グリーン車で配られるものと同じ素材のおしぼりからは、フランキンセンスのアロマの匂いがする。
コロナ禍で読書がなかなか進まない人はぜひ。本の内容に集中するには、環境次第ということがわかるかも。
ライター/横山由希路
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