家族と訪れたホテルで食べた「ヴィシソワーズ」に感動し、入社を決めました。当初は食材に触れることすら叶わず、ひたすら下ごしらえや準備に明け暮れる毎日でした。厳しくも温かい先輩方の背中を追い、プロとしての基礎と「いつか自分もあの味を」という志を深く刻んだ、泥臭くも充実した修行時代です。
鉄板焼やカフェレストラン、そしてフレンチレストランでの5年間の研鑽を経て、千里阪急ホテルのチーフに就任。いち料理人から、チームをまとめメニュー提案にも携わる「責任者」へとステップアップしました。これまでの経験を活かしながら、シェフのサポートを担うポジションでした。
「海外の文化に触れたい」という長年の夢を叶え、スイス・ジュネーブの大使公邸へ派遣。公邸で行われる商談や会議における調理を担当し、食を通じて話し合いの場をつくりあげていました。海外経験の一番の収穫は、料理への向き合い方。日本とは異なる文化、感性があるからこそ、新しい視点を得られた貴重な経験でした。
スイスから帰国した後、宝塚ホテルの副調理長を経て、2025年4月より調理長に就任。今まで以上に責任もある立場ですが、まずは働いている社員一人ひとりが楽しく働ける環境づくりと、後進の育成に努めています。
私の原点は、京都新阪急ホテルで出会った一杯の「ヴィシソワーズ」です。その感動を自分の手で再現したい、あの格好いい料理人になりたいという想いでこの道を選びました。ホテルの魅力は、レストランでの繊細な一皿から、宴会でのダイナミックな料理まで、多様なスタイルを学べることです。特に宴会調理は、数百名分を一度に仕上げるための緻密な構成力が必要で、レストランでは決して得られないスキルが身につきます。お客様の笑顔や「美味しい」という言葉が、30年以上経った今でも、一番のやりがいです。
調理長となった今も、常に「探求と変化」を大切にしています。料理には基本がありますが、それを今の時代やお客様の期待に合わせてどう進化させるか。その探求心こそが、一皿を「単なる食事」から「感動の体験」へと変えます。自分が探求心を持てば持つほど、料理が変化していく、その可能性を表現できることを楽しんでいます。実際、当社で働く仲間たちは本当に料理が好きな料理人ばかり。調理長として育成にも携わっている私にとって、そんな仲間の成長を目の当たりにできる瞬間は大きな喜びになっています。
当社には、個人の情熱に応えてくれる懐の深さがあります。私は「海外の文化に触れたい」という想いを叶え、スイス・ジュネーブの日本政府代表部大使公邸へ4年間派遣されました。世界の要人を迎える場での料理は、言葉以上に「美味しさ」で心を通わせる真剣勝負。離任時に大使から「あなたの料理に支えられた」と言っていただけたことは、私の料理人人生で最高の勲章です。労働環境や研修制度が整っているだけでなく、このように高い志を持って挑めるチャンスがあること。それが当社の自慢できるポイントです。